幻の娼婦/SEX AND MARRIED DETECTIVE
(ビデオソフト・タイトル『黒いドレスの娼婦』)
米1989/4/3 日1993/7/2

監督 ジェームズ・フローリー
脚本ジェリー・ルドウィッグ
ゲストスター リンゼー・クルーズ
声:鈴木弘子
犯人の職業心理学者
被害者マネージャー
 /デビッド・キンケード
殺害方法射殺


Introduction

ジョーン・アレンビー博士(リンゼー・クルーズ)は、セックスカウンセラーも勤める女性心理学者。 「女は誰でも娼婦になりたがっている」という持論を書いた『娼婦コンプレックス』が著書だ。
マスコミへの露出度も高く、デビッド・キンケードがテレビ・ラジオ出演のマネージメントを勤めている。 二人は私生活でも恋人同士で、しばしばベッドを共にしていた。
キンケードが持ってきた仕事のため、ひとり空港へ向かうアレンビー。しかし濃霧のため 飛行機は出発延期、深夜、診療所へ戻ってみると、カウンセリング用のベッドルームでキンケードと 秘書のシンディが抱き合っていた。
「先生(アレンビー)をデザートに例えると何?」
「あれは安物のプリンさ」
アレンビーは怒りを抑えてそこを抜けだす…。

数日後、アレンビーはシカゴの講演会から帰ってくる。迎えに来たキンケードには 何も知らなかったふりをして、「バケット」というバーで夜、会う約束を交わす。

その夜、アレンビーは別のパーティ会場にいた。 知り合いたちに、自分がそのパーティに出席していたという印象を残し、アリバイを作るためだ。
何人かに自分の存在を印象付けた後、レストルームに予め隠しておいた黒いドレスと帽子、カツラで 変装、会場を抜け出し、「バケット」へ向かう。
「バケット」では娼婦のふりをしてバーテンと言葉を交わし、やってきたキンケードを誘惑して診療所へ 連れ込む。娼婦を演じきるアレンビーにすっかり興奮したキンケードは、彼女の言うがまま。
彼女はキンケードを椅子に座らせておいて、取り出した銃を彼に向けた。
「デザートに例えると、あたしは何ですって?」
-----キンケードが死ぬと、その犯行を彼が勝手に連れ込んだ娼婦のものに見せかけるため、 偽装する。そしてパーティ会場へもどり、またレストルームでもとの姿に戻る。

現場に現れたコロンボは、被害者キンケードの遺留品に診療所の鍵がないことに注目。 仮に娼婦が殺したのだとしても、二人がどうやって深夜の診療所に入り込んだのかを疑問に思う。
「鍵は女が持ってたのかも…」


Impression & Trivia

けだるい雰囲気と、女性が犯人という設定が、どことなく「秒読みの殺人」を思い起こさせる… と思ったら、これもJ・フローリー監督。

「女性には娼婦願望がある」というくだり、そのテの団体から抗議はなかったんだろうか?

被害者の遺品に鍵がないことが犯行が暴かれるキッカケとなるのはいいのだが、 決め手は、あまりに出てくるのが唐突な気がする。伏線があれば…。

新シリーズになってからというもの、コロンボが犯行を暴くシーンがどれも芝居がかっていて、 見ている方が白けてしまう。
セックスの話にニヤつくコロンボも、どうも好みじゃない。

コロンボ・クリエイターたちはアガサ・クリスティーが嫌いらしい。
「ロンドンの傘」にもクリスティー批判の台詞があったが、この作品でも秘書シンディが空港へ向かうアレンビーに 一冊の本を渡しながら、
「はい、睡眠薬代わりのクリスティーの小説」
という台詞がある。
1997年記