コロンボの捜査に上層部から圧力がかかる、という展開は
「仮面の男」などにも見受けられるが、「ハッサン・サラーの反逆」では、
外交問題という大きな壁が立ちはだかっている。そしてこうした壁が大きくなるほど、
「おとぼけ」的態度で犯人に迫り、犯人自らに口を滑らせるというコロンボのトリックに、
見ている側はスカッとさせられる。
この作品では、ラストシーンのハッサンの豹変ぶりに笑いすら誘われてしまう。
権力を笠に着た者の悲喜劇だ。コロンボの意地悪さも小気味いい。
ハッサンはしきりとコロンボの捜査を外交問題にしようとするが、風雅書房刊『刑事コロンボの秘密』
によれば、この作品自体、アメリカン・アラブ差別撤廃委員会から抗議を受けたらしい。
犯人役を演じたヘクター・エリゾンドは、アメリカのテレビに多数出演。日本でも放送された
『シカゴ・ホープ』ではウォッター部長役(声:愛川欣也)。『シカゴ・ホープ』のファンページは
ここ。
スリア国王を演じたバリー・ロビンスは、『動物と子供たちの詩』(1971 S・クレイマー監督)に
主演している。
監督テッド・ポストはTVシリーズ「ローハイド」「コンバット」なども手がけているが、
何といっても有名なのは『ダーティーハリー2』(1973)だろう。