ハッサン・サラーの反逆/A CASE OF IMMUNITY
米1975/10/12 日1976/12/25

監督 テッド・ポスト
脚本ルー・シャウ
ゲストスター ヘクター・エリゾンド
声:井上孝雄
犯人の職業スワリ領事館・総領事
被害者1. 警備隊長/ユセフ
2. 共犯の部下/ハビーブ
殺害方法1. 撲殺
2. 車の事故に偽装して殺害


Introductionby T.O.

アラブ系国家、スワリ王国のロサンゼルス総領事代理、ハッサン・サラー(ヘクター・エゾリンド)の犯罪に コロンボが挑む。
外交特権という今までにない高いハードルをいかにしてクリアするか、コロンボの腕の見せ所だ。

スワリ王国、アーマド・カマル国王(バリー・ロビンス)のロサンゼルス訪問を控えた領事館に おいて領事館の警備隊長が殺されるという事件が発生した。
領事館室には政治スローガンの落書き。室内の金庫は爆破され、中の書類は その場で焼却されていた。
捜査を開始するコロンボ。
一見、政治活動がらみに見える現場の中でたちまち偽装の痕跡を発見する。
内部の者が事件に絡んでいるとみたコロンボは、領事館内の関係者で唯一行方不明であり、 事件当日領事館から車で出て行くのを目撃されているロッホマン・ハビーブ (サル・ミネオ)の捜索にあたった。
ハビーブは崖から転落した自動車内から遺体で発見。そしてここにも事故死にしては 不自然な状況を見つける。
コロンボは国王警備の一員となったのをいいことに領事館、さらにはサラーの周囲を 執拗につきまとい、彼の事件前後の行動に興味を示し始める。
外交特権をちらつかせるサラー。ついにはロス市警に国務省からのお役人が登場する。 手を引いて欲しいという要請にコロンボは一言、
「あの人、人殺してる」


Impression & Triviaby なぽべん

コロンボの捜査に上層部から圧力がかかる、という展開は 「仮面の男」などにも見受けられるが、「ハッサン・サラーの反逆」では、 外交問題という大きな壁が立ちはだかっている。そしてこうした壁が大きくなるほど、 「おとぼけ」的態度で犯人に迫り、犯人自らに口を滑らせるというコロンボのトリックに、 見ている側はスカッとさせられる。

この作品では、ラストシーンのハッサンの豹変ぶりに笑いすら誘われてしまう。 権力を笠に着た者の悲喜劇だ。コロンボの意地悪さも小気味いい。

ハッサンはしきりとコロンボの捜査を外交問題にしようとするが、風雅書房刊『刑事コロンボの秘密』 によれば、この作品自体、アメリカン・アラブ差別撤廃委員会から抗議を受けたらしい。

犯人役を演じたヘクター・エリゾンドは、アメリカのテレビに多数出演。日本でも放送された 『シカゴ・ホープ』ではウォッター部長役(声:愛川欣也)。『シカゴ・ホープ』のファンページは ここ
スリア国王を演じたバリー・ロビンスは、『動物と子供たちの詩』(1971 S・クレイマー監督)に 主演している。

監督テッド・ポストはTVシリーズ「ローハイド」「コンバット」なども手がけているが、 何といっても有名なのは『ダーティーハリー2』(1973)だろう。
1997年記