別れのワイン/ANY OLD PORT IN A STORM
米1973/10/7 日1974/6/29

監督 レオ・ペン
脚本スタンリー・ラルフ・ロス
ゲストスター ドナルド・プレザンス
声:中村俊一
犯人の職業ワイン工場経営
被害者弟/リック
殺害方法監禁の上、窒息させる


Introductionby T.O.

ディック・デ・ベネディクティスの旋律をバックに、透けるような紅色のワインがきらめく。 その輝きはまるでこの作品のように。その色彩は物語の結末を暗示するかのように。
新シリーズでは見られなくなってしまった登場人物の背後にある人生の光と影を 落ち着いたタッチで描き出す、香しき好作品。大人のドラマだ。

カッシーニ・ワイナリーの経営者、エイドリアン・カッシーニ(ドナルド・プレザンス)が 3人の紳士をもてなす。 彼らはワイン協会の“マン・オブ・ザ・イヤー”にエイドリアンが選出された旨を伝えに来たのだ。
時を同じく年の離れた義母弟、リック・カッシーニ(ゲイリー・コンウェイ)もエイドリアンの書斎に現れる。 結婚すると言う理由で金の無心に来たのだ。エイドリアンは金を渡す。
直後、リックはワイナリーを売ると言い出した。リックはワイナリーの所有権を持ってる。 ワインに全てを捧げたエイドリアンがそれを許せるはずがない。込み上げる怒り。 彼はリックを殴り付けた。気絶するリック。エイドリアンは一先ずそのまま書斎を後にする…と、 そこには彼の秘書、カレン・フィールディング(ジュリー・ハリス)までもが日曜にもかかわらず職場にいた。 エイドリアンとカレンは客人と共にこれからN.Y.へ飛び立つ。その準備に出勤していたのだ。 慌てて彼女を追い払い客の応対に出るエイドリアン。
客が一足先に飛行場へ発つと彼はすぐさま書斎に戻る。
依然リックはのびたまま。彼を酒蔵に運び縛り付けて換気を止める。 そしてリックのフェラーリを隠すとエイドリアンは機上の人となった…。

コロンボのオフィスに1人の女性が訪ねて来た。婚約者が行方不明で何かあったに違いないと言う。 その思いつめた表情にコロンボは彼女の捜索要請を受け入れる。
やがてロスの海岸からダイバーの死体が発見された。名はリック・カッシーニ。
彼のもとに配達された手紙を頼りに、コロンボは彼の義兄が経営するワイナリーを訪ねる。



Impression & Triviaby なぽべん

最高!の一言。(ワイングラスを持つときは、ちゃんとグラスの脚の部分を持ちましょう。 ワインが体温で温まってしまいます。)

コロンボのオフィスが登場。個室。スタンドの明かりだけで、薄暗い。また、コロンボには 子守が必要なくらいの年頃の子供がいるらしい。

「刑務所は結婚より、自由かもしれませんな」という台詞、身にしみる人も多いのでは?

原題は英語の慣用句 any port in a storm をもじっている。この句の意味は「嵐の中の港」 (嵐になったらどんな港でも救いになる)で、辞書では「窮余の策」「せめてもの頼り」と訳されている。 コロンボは事件解決に年代物のポルトワインを使う。このポルト(old port)こそ、 コロンボが犯人を追いつめるための「窮余の策」なのだ。
1997年記