二枚のドガの絵/UITABLE FOR FRAMING
米1971/11/7 日1972/10/22

監督 ハイ・アバーバック
脚本ジャクソン・ギリス
ゲストスター ロス・マーティン
声:西沢利明
犯人の職業美術評論家
被害者1. 叔父
 /ランディ・マシューズ
2. 共犯者/トレイシー
殺害方法1. 射殺/2. 撲殺


Introductionby T.O.

ショパン『別れの曲』で幕を開ける美術評論家、デイル・キングストン(ロス・マーティン)の殺人劇。
アリバイ工作のため夜の街に車を走らすキングストン。ビリー・ゴールデンバーグのBGMに 彼の緊迫と不安が読み取れる。追いつめられつつもなお叔母のエドナ( キム・ハンター)に濡れ衣を着せようとする悪知恵ぶりと、 執拗につきまとい事件の核心に近づいてゆくコロンボとの対決が見事。
製作は原作者のリンク&レビンソンだ。

キングストンは絵画収集家の富豪、叔父のマシューズを射殺する。
死亡推定時刻をずらすため死体へ電気モーフを掛けると邸内を荒らし、数々の名画の中から ドガのパステル画2枚だけを額縁から丁寧に抜き出した。
その時、訪問者のベルの音。キングストンの愛人、美術学校での講義の時に知り合ったトレーシー (ロザンナ・ハフマン)だ。キングストンはドガの絵を彼女に託し画廊のパーティーへと向かう。 一方、トレーシーはその場に留まり警備員の巡回を待つ。それは警備員に銃声を聞かせるという キングストンの不在証明のための危険な仕事。同時にキングストンにとって 彼女が危険な証人となりうる事を意味する。
キングストンはドガの絵を彼女から引き取るとその場で共犯者を始末した。
だがこれで彼の犯罪が完結した訳ではない。莫大な叔父の遺産、すなわち絵画コレクションを相続する 叔父の元妻エドナを社会的に抹殺する必要がある。
叔父の顧問弁護士シンプソン( ドン・アメチー)を言いくるめ、エドナ邸の家宅捜索を行うよう仕向けた。
そしてキングストンの狙い通り、ドガの絵2枚が発見されるが…。

衝撃(?)のクライマックスで視聴者を裏切らないシリーズ中でもトップ・クラスの作品。



Impression & Triviaby なぽべん

絵画を投資対象にしている叔父を殺害、ドガの素描を盗み、それ罪を 叔母エドナ(キム・ハンター)に着せようと企む…。

証拠がユニーク。その「証拠」は捜査段階のあるシーンでチラッと出てくるのだが…。

コロンボの直属の上司・捜査一課のワイラー課長が登場。偽装した証拠で被害者の妻エドナを 逮捕させようと詰め寄るデイル(R・マーティン)に、
「この事件の担当はコロンボ君です」
「これを証拠にするかどうかは我々が決めることです」
と、強く出る勇姿が見られる。
「殺人処方箋」で、コロンボにかかった圧力を上司が跳ね返したという エピソードが語られるが、それがワイラー課長だとしたら頷ける。

『コクーン』(1985 ロン・ハワード監督)でアカデミー助演男優賞を受賞したドン・アメチーが シンプソン弁護士役で出演。 エドナ役のキム・ハンターは『欲望という名の電車』(1951 エリア・カザン監督)で助演女優賞を。 『猿の惑星』シリーズ(1968〜)ではジラ役を。
1997年記