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5.音楽について
    5-1.テーマ曲

    コロンボのテーマ曲といって真っ先に思いつくのは、かつては水野晴郎氏の 解説のバックに流れ、今は新シリーズのオープニングに流れるあの曲だろう。
    しかしあれは、実はコロンボのテーマではなく、「NBCサンデー・ミステリー・ムービー」のテーマ曲。
    「NBCサンデー・ミステリー・ムービー」は、「警部マクロード」「署長マクミラン」 そして「刑事コロンボ」といったシリーズもののエピソードを週がわりで放映するという スタイルの番組で、その全体のテーマ曲が、日本ではコロンボのテーマとして定着した。
    作曲は『シャレード』『ティファニーで朝食を』などの映画音楽や「夏の日の恋」などで 有名なヘンリー・マンシーニ。

    「コロンボのテーマ」としてもう一つ言及しておくべきなのが、 コロンボ自身がしばしば口笛や鼻歌で歌う THIS OLD MAN
    これはマザーグースの詩の一つで、歌詞は「"this old man" "mother goose"」で検索すると見つかるはず。

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    5-2.「白鳥の歌」のあの曲

    タイトルは I saw the light
    ジョニー・キャッシュ扮するトミー・ブラウンの歌も印象的な「白鳥の歌」。
    エンディングにも使われている“あの歌”のタイトルはI saw the light
    元はハンク・ウィリアムス(Hank Williams)の曲。 ジョニー・キャッシュのアルバムに収録されている。

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    5-3.CD・レコード入手法

    5-1で紹介したテーマ曲は、
    テレビジョンズ・グレイテスト・ヒッツ・ Vol.2
    などに収録されている。
    CD NOWに登録して、「曲名」-「刑事コロンボ」を 検索すると、収録盤がいくつか出てくる。
    5-2のI saw the lightも、ここで買えるが、検索は英語版の方を使用し、 「title」-「I saw the light」と打ち込む。
    在庫の状況によっては、ハンク・ウィリアムスが歌うバージョンだけしか出てこないかも しれないが。

    「死者の身代金」中の曲を収録したLPは、 「掘り出し商品のコレクション」の第1展示室で紹介してあるが、 その他、BGMなどの音素材は入手困難というのが現状。
    手元にLP、EPなどをお持ちの方は、収録曲、作曲家、レコード番号などを教えてください。


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6.ノヴェライズ(小説版)について

    二見書房が1974年に新書版「サラブレッド・ブックス」(サラ・ブックス)として 刊行開始。全36巻に別巻2冊(「死のクリスマス」「謀殺のカルテ」)の合計38冊。
    詳細については、 「“掘り出し商品”のコレクション」のコーナーとしてまとめてあるので、 そちらを参照されたい。 原作ものではなく、テレビのオリジナルである「刑事コロンボ」のノヴェライズは、 一部を除き、撮影台本(あるいはそれ以前の台本)、またはすでに映像として 完成しているエピソードをもとに小説の形に書きおこされている。
    このため、これだけ多くの「コロンボ本」があるのは日本だけ。本国でも 6〜7作品がノヴェライズされているにすぎないらしい。
    また、「謀殺のカルテ」(後に『カリブ海殺人事件』と改題)のように、 ストーリーだけが存在し、映像化されなかったという“変わり種”もある。 因みにこのエピソードは「華麗なる罠」として新シリーズでようやく映像化された。
    (映像化されていない作品のうち、二見文庫で登場した『13秒の罠』の設定は 『殺人講義』に流用されているが、『死のクリスマス』はどうなるのだろう?)

    その後、2エピソードを1冊にまとめた「特選・刑事コロンボ」全10巻、 ノヴェライズされていなかった作品を既刊のエピソードと2本立てにした 「未発表・刑事コロンボ」全3巻が刊行されている。
    現在、日本でノヴェライズされていない旧シリーズのエピソードは 「愛情の計算」の1本のみ。

    ノヴェライズの「翻訳者」たちは、しばしば台本の弱い部分や足りない証拠を 読者のために補足たり、矛盾を解決してくれており、映像版を見るときと印象が 変わる作品もある。
    「逆転の構図」のラストに、映像版にはない締めくくりが用意されたり、 「意識の下の映像」での犯行方法に違いがあったりするのは、このためである。

    現在「サラ・ブックス」のコロンボシリーズは絶版となり、古本市場でも 高値がついているが、同じエピソードは二見文庫で読むことができる。
    新シリーズはテレビ放映のずっと以前に二見文庫から刊行されるので、 「見てから読むか、読んでから見るか」の選択に苦しむ。

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7.カサベテスがコラサント名義で監督を?

    この件についてははっきりしたことは不明。
    何度かVoCF(BBS)でも書き込みがあったので、それをまとめた 「二つの顔 WHO'S NICKをどうぞ。

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8.「仮面の男」最後の“笑い話”

    「仮面の男」のラスト。
    テレビ版の翻訳では、こうなっている。

    コロンボ「面白い話があるんです」
    ブレナー「ほう?」
    コロンボ「ある日、ポーカーとマージャンが賭をした」
    ブレナー「で、どうなった?」
    コロンボ「はじめはポーカーが優勢、ところが後半…」
    ブレナー「逆転」

    「これのどこが面白いんだ」という症状が蔓延。
    オリジナル英語版ではどう言っているのだろうか。

    Columbo "Would you like to hear something funny?"
    Brenner "I'd love to."
    Columbo "Today, Chinese...they changed their minds."
    Brenner "Did they, again?"
    Columbo "They're back in the games..."
    Brenner "in the games....Mah-Jong."

    因みに小説版(二見書房サラ・ブックス)での訳は次の通り。 (三谷茉沙夫訳)

    コロンボ「ブレナーさん、笑い話があるんですよ」
     コロンボはブレナーの背中に話しかけた。
    ブレナー「ほう?ぜひ聞きたいね」
    コロンボ「きょう、中国人が気を変えたそうで、ゲームに参加するそうです。」
    ブレナー「ゲームに?マージャンのだろ?」」
    コロンボ「わかっちゃいましたか」

    何が面白い?さあ?
    (ブレナーの部屋で麻雀牌を見たことがアリバイ崩しのヒントになり、 それを皮肉った、というのが“なぽべん説”。でも“笑い話”じゃないなぁ)
    あ、会話中のゲームというのが、この場合、オリンピックと麻雀をかけてあるということは、分かってますよ。 (何通か、ゲーム=オリンピック を念押ししてくださるメールがあったので・・・(^^;)


    「mind-change と mah-jongg の シャレなのではないでしょうか。」
    という新説は、"驢馬が一匹"さん。なるほど。

    「この作品が作られた1975年当時の政治状況を考えれば、 比較的わかりやすいジョークだと思いますよ。」
    とおっしゃるのはsamboさん。(以下、いただいたメールの引用)

      60年代の中ソVSアメリカの対立で始まったベトナム戦争が、 70年代初頭の米中接近、中ソ対立の政治状況下で終結したのが まさにこの1975年。
      Columbo "Today, Chinese, they changed their minds."
      というのは、「中国は気が変わってまたソ連寄りになったよ」というニュアンスのセリフで、
      Brenner "Did they again?"
      というのは状況によってソ連に接近したり、アメリカに接近したりと態度をコロコロ変える中国 が「また気が変わりやがったのか」という皮肉っぽい切り返しで、
      Columbo "They're back in the games..."
      の「game」は米中ソの政治戦略的駆け引きを示した言葉なわけです。
      で、政治の話かと思わせておいて、実は麻雀の話だったと。

      これがおもしろいかどうかっていうと、おもしろいわけありませんが、 アメリカンジョークって、まぁこんなもんでしょ。

      テレビ版、小説版の翻訳ともBrenner の"Did they again?" というセリフのニュアンスを表現できていないので、 「政治の話と思わせておいて実は麻雀」という会話の妙を 日本語でうまく伝えきれてないのだと思いました。


    諸説紛々。
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9.コロンボの葉巻について

    NHKがPR用に出していた「グラフNHK」昭和53年12月号では、「刑事コロンボ」特集が組まれており、 その中に葉巻についての言及もある。
    「マチネという銘柄で、1箱7ドルぐらいで1本100円足らず。やっぱり安物!!」
    調べたところ、マチネ(Matinee)はカナダ産の葉巻。 2003年8月現在、25本入りで$32.59(USD換算なら、1本約154円)。
    (価格などは、こちらを参考にしました  http://www.esmokes.com/)
    しかし、「撮影で使う葉巻は、スタッフが近所のスーパーで適当に買ってきていたらしい」という説もあり マチネだけに限られていたわけではないと思われる。